2014/11/26

優秀な人材が就職難?  博士人材に必要なスキルとは?

皆さん、こんにちは。広報・マーケティング部のJです。
すっかり秋も深まってきて、オフィスの前の外堀通りの桜並木もすっかり色づいてきました。

さて、今日は高等教育についてのお話です。

研究者は就職が難しい?


大学を卒業して、さらに研究を深めるために大学院へ進まれ、修士号、博士号を修得される方がいます。しかし、その優秀な博士人材や研究者の就職が難しいと言われているのをご存知ですか?
一説によると、100人博士人材がいたら、16人が無職というデータもあるようです。

一方で、社会の構造変化に伴い、博士人材に対して新しいスキルも求められるようになっています。これまでは、博士号を取得したあとは、大学や産業界の研究開発で就職が一般的と思われていました。しかし、日本の文部科学省が、「専門分野の枠を超えて全体を俯瞰し社会的課題の解決に導く高度な人材は不可欠」とし、産・官・学にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成するための「博士課程教育リーディングプログラム」事業を推進するなど、いまや博士人材は、様々な社会の分野で活躍することが求められる時代となっています。

英国の大学で採用されているスキルセットマッピング


この状況は、英国でも同様で、国を挙げてこの課題に取り組んできました。

2002年から2012年にかけては、全国の大学で研究者育成(トランスファラブルスキルトレーニング)の充実化が図られるよう、重点的な予算の配置も行われたのです。その中で、1968年以来続いてきた、大学や研究機関の研究者育成のためのプログラムを引継ぎ、2008年に非営利の全国的ネットワーク組織「Vitae」(「ヴィータエ」と発音)が発足しました。

Vitaeは、高等教育機関、研究機関の博士研究者や研究スタッフ、博士課程に在籍する大学院生の自己啓発、専門的能力開発およびキャリア開発の支援を目的に様々な活動を行っています。

そのVitaeが、世界中の100人以上の研究者を対象に行ったリサーチ、専門家らからの助言などに基づいて、21世紀の社会で研究者、博士人材として活躍するのに必要なスキルセットの定義づけを行いました。その結果、開発されたのが、世界トップクラスの研究者の育成を目指し、研究者の総合的な能力開発を目的としたフレームワーク「Researcher Development Framework(以下、RDF)」(下図)です。


RDFは有償サービスで、フレームワークを図としてわかりやすくまとめたものが上記のマッピング図。各項目には何をすべきかがそれぞれ系統化されており、導入のためのマニュアルも用意されています。

いまでは、英国の多くの大学で、博士人材・若手研究者育成の取組の基盤として用いられています。各大学では、能力開発を目指した研修機会をRDFで見直し、PDFに基づいて必要な研修を開発、さらに、取り組み全体をマッピングすることで、より包括的な研究者へのサポートの提供を目指しています。

優秀な研究者支援に向け、日本でも活用へ


日本でもこの課題への取り組みが進められています。

科学技術振興機構(JST)では、以前より若手研究者を支援するポータルサイトを運営していましたが、この度全面リニューアルし、イノベーション創出を担う研究人材のための能力開発及びキャリア支援ポータルサイト「JREC-IN Portal」が開設されました。

このリニューアルで新たに導入されたのが上記のRDFなのです。
サイト内で提供されているコンテンツがContents on Vitae RDFとしてマッピングされました。

さらに、筑波大学では、博士課程後期の学生に対するキャリア形成支援としてRDFが全学的に導入されています。

これからもこの課題について日英両国が情報を共有することで、優秀な人材がもっと活躍できる社会となると嬉しいですね。


参考:
天才プログラマー五十嵐悠紀のほのぼの研究生活 

2014/11/20

英国の学生が日本を体験
















(訳文 English follows below)

駐日代表 ジェフ・ストリーター


よく晴れた土曜の午後1時-ロンドン。トラファルガー広場から角を曲がったところで、白く明るいテラスのある建物のドアの前から学生たちの列ができていた。世界で最も歴史があり、最も著名な科学学会のひとつ、英国王立協会の建物だった。

学生たちの列の理由。それは、日本の19大学が参加する、英国から日本への留学、日本での研究参加について知ることのできるイベント「日本留学フェアExperience Japan)」が開催されたから。600人を超える学生たちが、参加校のブース訪問や講義に参加するために集まった。講義の中には、慶應義塾大学の大串代准教授による「不思議なほど可愛い猫:少女マンガとアニメにみる日本のかわいい文化」など、魅力的なタイトルも。

このイベントは、慶應義塾大学とブリティッシュ・カウンシルが共催。
参加者に、なぜブリティッシュ・カウンシルが日本への留学を促進しているのか聞かれ、私はこう答えた。
―我々が英国学生の国際化を支援する活動は、日本の大学が国際化を支援することと、同等の重要性を持っているから。―

国際化は、私たちの価値観の中心をなすものだ。日本の学生が英国で勉強や研究することには大変な価値があると確信している。同様に、英国の学生も日本で非常に多くのことを学べると信じている。日本留学フェアの開催も今年で4年目。毎年参加者数が増えるのをとても嬉しく思う。来年はもっと多くの参加があるだろうか。たとえ参加者が実際に日本留学をしなかったとしても、イベントの参加を通して日本をより理解してもらえたことだろう。そして、中には不思議なほど可愛い猫についてさらに調べる人もでてくるかもしれない。

Experience Japan! 


It’s 1pm on a Sunny Saturday afternoon in London.  Just around the corner from Trafalgar Square there’s a queue of young people waiting to get into one of the entrances into a luminous white terraced building. The building? The Royal Society - one of the oldest and most distinguished scientific organisations in the world. And the reason for the queue?  Experience Japan, an exhibition by 19 Japanese universities giving young people in the UK an opportunity to find out about opportunities to study or carry out research in Japan. Over 600 youngsters packed in to visit the universities’ booths and attend a series of lectures, including the intriguingly-titled “Uncannily Cute Cats: Reconsidering Japanese Kawaii Culture in Shojo Manga and Animations” given by Dr Hisayo Ogushi of Keio University.

The exhibition was hosted by Keio University and co-hosted by the British Council.  A few people asked me why the British Council was involved in promoting study in Japan. My reply was that we have a commitment to supporting the internationalisation of young people in the UK which is just as great as our commitment to helping the internationalisation of institutions in Japan. Internationalism is a core value for us. So, just as we believe that young people in Japan can gain a lot from studying or carrying out research in the UK,  so we believe that young people from Britain can gain a huge amount from being in Japan. And it’s been great to see attendance at this exhibition growing over the four years it has been held – let’s hope even more people come next year. And even if they don’t decide to study in Japan they will go away better informed – and perhaps will want to find out more about those uncannily cute cats.

Jeff Streeter, Director